伝統と革新のあいだに立つようなカメラが登場しました。
ライカが発表した「M EV1」は、これまでのレンジファインダーとは異なり、電子ビューファインダー(EVF)を内蔵した新しいMシリーズ。
あの小さな“窓”の向こうに見えていた世界が、デジタルの光で描かれる――そんな時代の変わり目を感じさせる一台です。
光を、画面で捉えるライカ
フルサイズの60メガピクセル裏面照射型センサーを搭載し、Mマウントレンズの魅力をそのままに映し出す。
撮影解像度は60・36・18MPの3段階から選べ、被写体との距離や質感を繊細に描くことができます。
EVFは576万ドットの有機EL。被写体の明暗差や色の微妙な階調までも、まるで肉眼のように映すそうです。
伝統の手触りを残して
レンジファインダーを廃したとはいえ、Mシリーズらしい金属の質感と革の手触りは健在。
マニュアルフォーカスを前提とした設計で、フォーカスピーキングや拡大表示などのサポート機能が加わり、
「自分でピントを合わせる喜び」と「デジタルの確かさ」が共存しています。
静止画のための、静かな道具
動画機能やチルトモニターは搭載されていません。
けれど、このカメラには“足りないもの”ではなく、“削ぎ落とされた美しさ”を感じます。
ただ一枚の写真を撮るために、被写体と向き合う時間を取り戻す――
M EV1は、そんな“静の道具”として設計されたのかもしれません。
変わるものと、変わらないもの
光学ファインダーの時代を支えてきたライカが、電子ビューファインダーを選んだ。
その決断には賛否があると聞きます。けれど、
「光を見る」方法が変わっても、「光を信じる」姿勢は変わらない――
そんな思いが、このモデルの佇まいから伝わってくるようです。
静かな革新の先に
決して手軽な買い物ではありません。
それでも、手の中に“ひとつの時代の節目”を感じさせる存在感があります。
ライカM EV1は、懐かしさと新しさをひとつのボディに閉じ込めた、
“光との対話”のためのカメラだと思いました。
PR